『堀江トリオ』の堀江恵太です!
2020年の末に『佐渡裕とスーパーキッズ・オーケストラ』の仲
今回は、海外在住のメンバーが帰国できないのですが、その分、関
お届けします。
音楽は調和。和はなごみ。『わの空間』桜の庄兵衛さんでの演奏は
兄、牧生も参加するので、年明け早々、賑やかになること間違いな
皆さまにお会いできるのを楽しみにしております!
★2022年1月16日(日)
昼の部13:00開演(12:30開場)60名様
夕の部16:30開演(16:00開場)60名様
★参加費 3,000円
★出演
YOuthful DreAmerS(右から読めば SADOYutaka)
ヴァイオリン:堀江 恵太(ほりえ けいた)
:柳楽 毬乃(なぎら まりの)
ヴィオラ:丸山 緑 (まるやま
みどり)
チェロ:堀江 牧生(ほりえ まきお)
コントラバス:松本 友樹 (まつもと ともき)
★プログラム
G.オンスロウ 弦楽五重奏曲第28番
G.ロッシーニ 弦楽のためのソナタ第2番 イ長調
他
★プロフィール
■堀江
恵太(ヴァイオリン)北野高等学校123期卒。「
■柳楽 毬乃(ヴァイオリン)島根県出身。「佐渡裕とスーパーキッズ・
■丸山 緑(ヴィオラ)東京音楽大学、
■堀江 牧生(チェロ)「佐渡裕とスーパーキッズ・オーケストラ」
■松本 友樹(コントラバス)兵庫県立西宮高等学校を経て、
『初春に夢の音を聴くコンサート』 内山 美帆
目には見えないけれど確かに目の前で増幅されていく、観客の胸というか身体のどこかしらを熱く、熱くしていくエネルギーを「熱量」と言うならば、こと音楽におけるその影響力の大きさには驚かされるものがある。そしてこの「熱量」は生の演奏でしか体験することができない。
それは勿論、鍛錬を積んだ奏者の方々の演奏技術がベースにあってこそだとは思うが、演奏技術ではない部分で、聴く側に押し寄せるように流れ込んでくる、まるで自分がその音楽の中に飲み込まれていくような感覚を、熱量の多い音楽に触れると覚える。
その名の通りの若い精鋭たちが集まったYOuthful DreAmerSのコンサートは、1st、2ndヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの編成によるベートーヴェンの「弦楽四重奏曲 第3番 ニ長調 作品18-3」からスタートした。
弦同士がパッセージを繋いでいく時のなんとも言えない高揚感、4人の音が重なり合った時の、つい身体がつられて揺れてしまうような、(私はなぜか)眉間が(いい意味で)締め上げられるようなあの独特の感覚を味わいながら、お互いの音が絡み合って熱量が増していくあの感覚を思い出した。
体から放出されるエネルギー量が見えているはずがないのに、互いの熱量が絡み合ってうねるように巻き上がっていくのが肌感覚で分かる。そんな中ヴァイオリンが繊細に切り込んでいったり、音の混じわり方も変わってクライマックスへ向かっていく。非常にドラマチックな展開に耳も目も離せない。
とても贅沢なことに昼の部、夕の部ともに聴かせて頂いたことで、昼と夕での奏者の方々のアプローチの違いのようなものも感じた。ロッシーニの「弦楽のためのソナタ 第2番 イ長調」は1st、2ndヴァイオリン、チェロ、コントラバスという編成。ヴィオラのパートをチェロが担当し、チェロのパートをコントラバスが担当するというスタイルで面白い。第1楽章、ヴァイオリンの柳楽さんの速く駆け上がっていくようなフレーズが、昼の部よりも勢いが増しているように感じ、勝手に胸が高鳴った。
その後に続いたロッシーニの「弦楽のためのソナタ 第3番 ハ長調」では、駆け上がるように重なっていく4人の音がどんどん熱を帯びていく。不穏な空気と哀愁が漂う音楽の中で軽快に跳ねる1stヴァイオリンや、下の方で流れる音がコントラバスの重低音だと聴こえ方も変わり、その上でチェロが伸び伸びと響き渡る様子も印象的。
オンスロウの「弦楽五重奏曲第28番 ト短調 作品72」。第一楽章、速いパッセージを5人で繋いで、受け渡しながら盛り上がっていく音楽。第二楽章、朗々と歌い上げるヴィオラがとても印象的。優しい穏やかな始まりに哀愁が混じり、そこからの幸福感に満ちた盛り上がりに身体が包まれていく…
と、ただただ抽象的で語彙力に乏しい私の感想なんてものはさておき、目下のテーマである「熱量」に関して、YOuthful DreAmerSは5名それぞれが、それぞれの熱の出し方で音楽に厚みをもたらしている。
ヴァイオリンは花形と言われるがごとく、その切なげで美しい音色を堀江恵太さんと柳楽毱乃さんという違った個性が先頭に立って音楽を引っ張っている。そして油断するともっていかれてしまう(笑)その豊かな響きで途端に色を変えていく堀江牧生さんのチェロ。静かにずっと音楽の底を流れ、下から迫ってくるように響いていく松本友樹さんのコントラバスは、とても静かにけれども常にその音楽の下支えになり、なくてはならない安心感を与えている。そして歌い上げた瞬間にハッとさせられる太く美しい響きを持った丸山緑さんのヴィオラ。大きく目立つことは少なくとも、謂わば関節と関節を繋ぐような、音楽の流れになくてはならない存在とし常にそこにいる。
この5名が集まり、それぞれの個性を絡ませながら作り上げていく音楽は、まだまだこれから熱を帯びていくであろう可能性に満ちた「夢の音」を聴く時間となった。