これからのイベント


Vol.111「秋風の庭につどいて楽しやな」

桜の庄兵衛で九雀亭Vol.5


2021年11月23日(火・祝)

昼の部13:00開演(12:30開場)60名様

夕の部16:30開演(16:00開場)60名様


★参加費 3000円

 (昼夕の部通しで参加の方は5000円)

 

★出演

桂 九雀(かつら くじゃく)

桂 九ノ一(かつら くのいち)
桂 九寿玉(かつら くすだま)

お囃子:岡野 鏡

■演目

 当日のお楽しみ。

 昼の部夕の部で違う演目がかかりますので、お好きな方は通しでどうぞ。

 



プロフィール

 

 桂 九雀(かつら くじゃく)

  1979年(昭和54年)3月1日 桂 枝雀に入門。
  マイクロフォンを使う必要のない会場で、生の声、生の三味線、生の鳴物による 落語会の開催に力を入れている。
  将棋(アマチュア三段)・詰将棋創作・クラリネット・ギター

桂 九ノ一(かつら くのいち)
  2016年3月1日、桂九雀に入門。2020年5月、年季明けの条件=持ちネタ20に到達し、本格的に活動開始。
  学生時代からの趣味・ギターの経験を生かし、ミュージシャンとのコラボを展開している。

桂 九寿玉(かつら くすだま)
  2020年3月1日、桂九雀に入門。大阪府立東住吉高校・芸能文化科卒業。
  年季明け条件=持ちネタ25を目指し修行中。数少ない21世紀生まれの落語家。


笑門来福                                  鍋島和子

 

  青空の広がる勤労感謝の日、この日は桜の庄兵衛さんで待ちに待った九雀亭落語会でした。

綺麗に掃き清められた美しい広いお庭を進みます。途中、柱にはお多福の木札や土でできたお多福さんが掛けられて、笑う門には福来るです。心が弾みます。そして大きな広い沓脱ぎから会場へ。

 

 しばらくして一番太鼓が鳴り響き九雀亭開演です。お囃子の三味線は岡野鏡さん。とても若いお嬢さんが弾いてくれます。

 

 生の三味線、生の鳴り物で、まずは九寿玉さんの登場。初々しい!九寿玉さんが九雀さんに入門を志願なさったのが、桜の庄兵衛さんでの前回の落語会の時だったそうです。まだ高校生の時。その高校生が修行2年弱で「阿弥陀池」や「道具屋」が早や持ちネタになっているとは頼もしい。桜の庄兵衛ファンとしても嬉しい限りです。大いに」笑わせてもらいました。

 

 九ノ一さんはもちろん羽織姿での登場です。よーくお似合い。その羽織を脱ぐ仕草も板に付いてかっこいい。よく通る落ち着いた声。まずは「住吉駕籠」新米の雲助、兄貴分、質(たち)の悪い客、酔っ払い、そしてお武家さんが登場するお噺。兄貴分の雲助がイライラする様子や一本抜けた新米雲助とのやり取りが面白く笑いました。酔っ払いの繰り言や雲助との掛け合いにさらに盛り上がります。次に「壺算」。桜の庄兵衛さんにも大きな大きな水壺があります。ああ、二人であれを担いで行ったり来たりしているんだと実感。九ノ一さんの「壺算」がよかったです。またぜひ聞きたいです。

 

 還暦を迎えられた九雀さんは、黒紋付に羽織の紐が赤。さらに赤い長襦袢でご登場です。見てもいない夢の事で大騒動の「天狗裁き」。妻や隣人、大家さんにもどんな夢だったかとしつこく問われ、奉行所にまで突き出されます。果ては天狗につるし上げられる始末。それでも「見てない夢の話はできん」今までと同様に言うので天狗は怒ってしまします。そして最後にどんでん返しが。

 

 中入り後の九雀さんは、すみれ色の着物にさくら色の羽織で再登場。演目は「文七元結」。人情噺だそうです。私は滑稽話が楽しくて好きですので、人情噺の落語はほとんど知りませんでした。九雀さんの「文七元結」が聞けてよかったです。

 

 夕の部は「包丁間男」と「饅頭恐い」。「包丁間男」は今では死後になっている間男のお噺。どうして包丁が絡むのかと思っていました。なるほど、サゲで納得。「饅頭恐い」は恐いもの談義。皆が蛇や蟻が恐いと言う中、一人が饅頭恐いと言います。男を好ましく思っていない連中が企みます。饅頭をいっぱい買って来て、を恐がらせようと。しかし男は家に投げ入れられた饅頭を大喜びで頬張っています。喜八洲の酒饅頭に千鳥屋の千鳥饅頭、出入橋のきんつばに岡町駅前のおはこ饅頭。地元色満載で客席も大喜びです。連中はようやく男に騙されていたと気づきます。そして男に本当に恐いものを尋ねると・・・。

 

 昼の部夕の部通しで楽しませて頂きました。紅葉狩りの風情を会場に感じながらの一日、上機嫌で過ごしました。ナマの落語は本当にいいです。日常を忘れて、いつの間にか噺のなかに引き込まれています。大きく口を開けて笑っていました。

 

 桜の庄兵衛さんは、江戸時代から続く立派なお屋敷です。でも、堅苦しさを感じる事なく、いつもほっとさせて頂けます。スタッフの皆さんの準備や当日私達を歓迎して下さる笑顔に心からお礼申し上げます。

ありがとうございました。

 

 まさに笑門来福の一日でした。