★日本内外の忘れられたうたを探して作ったCDブック『クレオール・ニッポン』刊行からちょうど4年、
魅力あふれるうたやひととの出会いは続いています。
このコンサートはその集大成。うたの中に息づく数々の時間を味わっていただけたらと思います。
松田美緒
2018年12月16日(日)
昼の部13:00開演(12:30開場)
夕の部16:30開演(16:00開場)
★出演
松田 美緒 歌
鶴来 正基 ピアノ
渡辺 亮 パーカッション
★プログラム
こびとの歌(長崎 伊王島)
リスボン、私の街 (ポルトガルのファド)
移民節(ブラジル)
サイコー(カーボヴェルデ共和国で生まれた日本の歌) 他
■プロフィール■
■「クレオール・ニッポン」
歌手・松田美緒が2012年にスタートしたプロジェクト。日本の農村、海、山の生活の中でかつて歌われていた民謡(徳島、秋田、福島など)から、異文化と混じり合い生まれた「クレオール」的日本語の歌(長崎の隠れキリシタンの島の歌や南洋の島々の歌)、またブラジルやハワイへ移民した人々によって歌われた歌など、独自の視点で選び抜いた多様な日本語の歌をうたい、語る。2014年には現地調査と歌の再構築の成果を『クレオール・ニッポン 歌の記憶を旅する』(アルテス・パブリッシング)というCDブックとして発表し、各界から大きな反響を呼ぶ。2015年、第2回鉄犬ヘテロトピア文学賞特別賞を受賞。2016年、2017年には2年続けて「NNNドキュメント」としてドキュメンタリー番組が日本テレビ系列で全国放映された。日本国内、パラオで撮影された1回目の番組は、坂田記念ジャーナリズム賞グランプリを受賞、2回目はブラジル移民の歌をテーマに、ブラジルで撮影を行い、ギャラクシー賞奨励賞を受賞。2017年6月には世田谷区の生活工房で「クレオールニッポンの旅」と題した展覧会が1ヶ月以上開かれ、フィールドノートや歌との出会いに関連する様々な展示が行われた。これまでこのメンバーでは日本全国、2013年に韓国で公演。2015年にはNHKBSの「東北Soul」に出演。人々の普遍的な感情と生活が滲んだ数々の歌は、それぞれの歌の世界観に寄り添う音創りによって新たな命を吹き込まれ、聴く人を深い感動にいざなう。
■松田美緒 歌
ポルトガル語やスペイン語など六ヶ国語を操り世界中で音楽活動を重ねる、歌う旅人。
10代でポルトガルの歌ファドに出会い、20代でリスボンに留学。ブラジルでの音楽祭出演をきっかけにリオ・デ・ジャネイロ録音の1stアルバム『アトランティカ』で2005年ビクターよりデビュー。ポルトガル語、スペイン語圏の国々で、現地を代表する数々のミュージシャンと共演、アルバム制作を重ねる一方、2012年より日本内外の忘れられた歌を発掘し、現代に蘇らせている。2014年に発表したCDブック『クレオール・ニッポン うたの記憶を旅する』は高い反響を呼び、文藝春秋『日本を代表する女性120人』に選ばれる。
2016年と2017年、日本テレビ系列『NNNドキュメント』で松田美緒の活動を追ったドキュメンタリーが2作に渡って放映され、それぞれ『坂田記念ドキュメンタリー賞グランプリ』『ギャラクシー賞奨励賞』を受賞。
聴く人を深い感動にいざなうその歌声には、彼女が旅した様々な地域の魂が宿っている。
■鶴来 正基(つるぎ まさき) ピアノ
石川県金沢市出身。学生時代よりラテンパンクバンド『VARIETE』のメンバーとして活動。ピアニスト・作編曲家として現在にいたる。
歌を際立たせるピアノにも定評があり、加藤登紀子、故ピエール・バルー、Sabdiiなど多くの歌手のステージを勤める。
最近ではレ・ロマネスク、宮沢和史などのコンサートやレコーディングに参加している。
■渡辺 亮(わたなべ りょう) パーカッション
音楽に色彩と空間を与えるパーカッショニストとして、EPO、ショーロ・クラブなど数多くのアーティストと共演、レコーディングに参加。
青山「こどもの城」の講師を経て「 鼓童」アースセレブレーション、いわき芸術交流館アリオスなど、全国でパーカッションのワークショップを行っている。ソロアルバムに「ウォレス・ライン」「モルフォ」、著書に「レッツ・プレイ・サンバ」がある。
また、絵とパーカッションを組み込んだ「妖怪探訪」を主催している。
「歌の記憶を旅する」コンサート 新本 貴幸
数年振りに訪れた奥野家住宅・桜の庄兵衛ギャラリー。
国の登録有形文化財に指定されている時代を感じさせられる立派な建造物。
主屋に入ると重厚な造りの中に広い空間、そして何とも言えぬ気持が落ち着く
居心地の良いスペースが出迎えてくれた。
松田美緒さんが2012年にスタートした「日本のうた プロジェクト」
日本内外の消えて無くなりそうな歌を現代に蘇らせるために全国を旅する。
「日本の土地に息づく空気や人々の暮らしを肌で感じて歌にする」歌の風景を探す旅。
消えて無くなるのが惜しい!
いろんな所で歌われていた歌が時と共に忘れられて、
その人達も亡くなられて、沢山の歌が消えていく。
そんな忘れられ消えて無くなりそうな歌を蘇らせるために
数年の年月をかけたプロジェクト
最初の曲は秋田県の「山子歌」、徳島県祖谷の「木びき唄」「木負い節」と
山のうたが続く。 毎度の事ながら彼女の伸びのある、そして何とも心地よい声に魅了され一気に松田美緒の世界に引き込まれてしまう。
次は、キリシタンの隠れ里だった長崎県伊王島の歌を3曲。
「花摘み歌」「アンゼラスの歌」そしてライブでもよく歌っている「こびとの歌」
この「こびとの歌」は100年前の音楽劇。
そして一部最後の曲は私の大好きな曲「リスボン私の街」
ポルトガルに行った事は無いですが、石畳みの道とオレンジ色の街燈をイメージして幸せ気分で一部終了です。
そして、桜の庄兵衛さんに来たらお楽しみ、おやつタイム(笑)美味しく頂きました!
二部のスタートはブラジルに移民した人々の移民のうた。
まずは「移民節」。そして110年前に出航した第一回移民船・笠戸丸で歌われたラッパ節の替え歌「移民ラッパ節」。 次に日本人より20年も前にブラジル移民をしていたイタリア人娘の事を歌った「イタリア娘の恋心」
戦前の歌で「可愛いスーちゃん」の替え歌「移民の歌」
夢と希望を胸に抱いて移民した人々が植民地での現実を目の当りにし、その想像を超える苦労や故郷への思いをそれぞれの故郷の歌に乗せて哀歌として歌い継いだのかと思うと感慨深い気持ちになる。
そして、南洋のうた。
パラオの人々に歌い継がれてきた歌で、日本占領下でのミクロネシアの女性と日本人警察官の悲しい恋を歌った「レモングラス」
次の曲は、アルゼンチンの名曲「Las Golondrinas (ツバメ)」
ラストは彼女のライブでは定番のヴィラ・ロボスの名曲でブラジルの第二の国歌と言われるほど愛されている曲「Trenzinho Do Caipira」
アンコールも定番の曲。カーボ・ヴェルデで歌われている日本語の入った「SAIKO」
「最低な事は全部忘れて今日は楽しく!人生はサイコーだよ!」って生きたいですね(笑)
「祖先の生活を受け継ぐ人たちの日本、海のむこうの文化と融合する日本、世界に出て行った人たちの日本・・・・その風景はさまざまだが、これらの歌のどれをとっても、日本の人びとが自然と共にある暮らしのなかで歌をうたっていた時代を憶えている。歌をめぐる物語から多様な日本がみえてくる」と松田さんの著書にある。
そんな歌たちがうたい継がれずに消えようとしている現在、この松田さんのプロジェクトは価値のある素晴らしいものだと思います。益々パワーアップして活動中の松田さんの今後に期待大です。
最後に、素晴らしい演奏を聞かせて頂いた、ピアノの鶴来正基さん、パーカッションの渡辺亮さんに感謝です! そして今回、素敵なコンサートを企画して頂いた桜の庄兵衛ギャラリー委員会の方々、ありがとうございました。