Vol.95「雨あがり つばめ飛び交う コンサート」

★Vol.95「雨あがり つばめ飛び交う コンサート」

 

日時 6月24日(日)

★昼の部13:00開演(12:30開場)

   夕の部16:30開演(16:00開場) 

 

★ 参加費 2500円

 

★「皆様!毎度お騒がせ致しております。ヴァイオリンの金関です。今回はギターの巨匠、古川氏をお迎えして往年の漫才をご提供したいと思います。乞うご期待!
(注)これはクラシックのコンサートです。」


プログラム
 タンゴの歴史  ピアソラ
 序奏とロンドカプリッチョ―ソ  サンサーンス
 映画「ひまわり」より
 映画「禁じられた遊び」より「愛のロマンス」
   他

プロフィール

金関環(かなせきたまき)
アメリカ・ジュリアード音楽院にてジョセフ・フックス教授の門下生となる。
ジュリアード音楽院卒業及び修士課程修了
後年、師フックスの助手に就任。ニューヨークを中心に室内楽の演奏活動を行う。
ニューヨーク・カーネギー・ワイル・リサイタルホールをはじめ、東京や大阪など各地でリサイタルを開催。
信念に基づく独自の演奏や人間の情緒に深く根ざした豊かな表現力、作品のリズムを大切に様々な演奏活動を展開し好評を博している。
http://tamakikanaseki.jimdo.com/

古川 忠義(ふるかわ ただよし・ギター)
京都市堀川高校音楽部コントラバス専攻を経て京都市立芸術大学音楽学部へ。日本演奏連盟新人選考演奏会優勝。
15歳でデビューリサイタルを開く。アメリカやヨーロッパ、アジアなど海外でのゲスト出演も多く、クラシックはもとよりジャズ、カントリー、ラテンなど幅広いジャンルを融合させたスタイルは類をみない。ABCテレビ、ABCラジオ、ラジオ大阪などでの
パーソナリティーの経験を生かしたステージは、軽妙なトークを交えながらのギターショーである。各界のアーティストとの共演、マスコミ界での活躍も多く、人気のあるミュージシャンとして存在している。2010年、浄土真宗本願寺派僧侶となり、お寺
での演奏活動も行っている。
ギター・スクール:テディーズギター主宰。

http://www.teddys-guitar.com 




金関VS古川?ギター漫談とヴァイオリン芸人の『競演』        ABCアナウンサー 堀江政生

 

いつものように岡町の駅を降り、高鳴る胸の鼓動に合わせて足早に歩を進めると、例の角で、懐かしさと安堵感のある文字が私を迎えてくれました。「雨上がり つばめ飛び交うコンサート」前日まで降っていた雨は一転、梅雨の中休みに入り五月晴れに。そう、五月晴れとは梅雨の合間の晴れのことをいうのであって、決してゴールデンウィークの晴れを指す言葉ではない。梅雨の晴天は貴重なのだ。その貴重な一日、そこでしか味わえない空間に飛び込んでいくんだ。「庄兵衛さん、相変わらずセンスにあふれているぜ!」

角を曲がると、更に足取りは軽くなった気がしました。

 

私は一昨年の暮に、ヴァイオリニスト・金関環さんとピアニスト・宮川真由美さんのリサイタルをここで聴きました。その時の金関さんを「フィドラーの伝道師」と勝手に名付け、ここに感想文を書かせてもらいました。金関さんがジュリアードでユダヤ人の先生に薫陶を受けた話や、メンデルスゾーンを始めとするユダヤ人の楽曲を主に取り上げ、ユダヤ人にとってヴァイオリニスト(フィドラー)がいかに重要な存在かということを教わった演奏会でした。

 

一方、今回金関さんと共演するのは、私が「ご無沙汰しています!」と挨拶をしたギタリスト、古川忠義さんです。かつて私が早朝6時前から始まるTV番組を担当していた頃、その後の「おはよう朝日です」に出演されていて、よくABCの社屋でお会いしていたお方です。いやはや、もう30年近く前のことだというのですから、お互い歳を取りましたねぇ・・・

 

閑話休題、私のイメージでは古川さんはポップス系のギタリストだったのですが、改めて経歴を拝見すると堀川高校音楽部ではコントラバスを専攻されていたとのことで、クラシックがベースにあるから、金関さんとの共演も「なるほどなるほど」な訳ですね。

ところがこの共演、『競演』という字のほうがピッタリでしたね。とにかく、金関さんが曲紹介や解説を始めると、古川さんがチャチャを入れて邪魔をする。さらにそこから抱腹絶倒のギター漫談へ。金関さんも嫌いじゃないからヴァイオリン芸人になり応酬。曲間は笑いの渦に。え?今日の庄兵衛さんは落語会だった??と見紛うほどです。しかし、この綱引きは、演奏に入っても続いていて、よく言う「キャッチボールのような会話をしながら音楽が進んでいく」のではなく、卓球やテニスのように「変化球やスマッシュの打ち合い」をしている感じなんですよね。落語会からスポーツ会場に。そんな二人の真剣勝負を充分に堪能しました。

 

後で金関さんに伺うと、古川さんとは10年以上前にある人の紹介でデュオを組み始めたそうですが、この日の古川さんは、いつも以上にテンションが高く、それに引きずられたと振り返っていらっしゃいました。

 

さて、この原稿の冒頭部分に戻ります。私は、15時過ぎに岡町の駅を降りました。13時からのコンサートを聴き終えた人たちとすれ違いながら桜の庄兵衛ギャラリーへと歩いていたのです。みなさん一様に微笑みを浮かべ、満足した表情で駅へと向かわれていました。そして私自身も味わい深い音楽を聞き、たくさん笑いました。その中でふと思ったことがあります。

さかのぼること6日前。最大震度6弱の揺れを北摂に住んでいる私たちは体験しました。まだ余震も続いています。この楽しい時間、空間が、不安におびえる私たちの心をどれほど癒してくれたことでしょう。かたわらに音楽と笑いのあることの大切さ。桜の庄兵衛ギャラリーと金関さん古川さんコンビが、それとはなしに語りかけていたのですね。古川さんがいつもよりテンションが高かった理由はそのあたりにあったのかもしれません。