Vol.94 ひょっこりと春が顔出すコンサート

★Duoセルリアンは、第1回オカリナコンクールにて合奏部門第1位、同コンクール総合グランプリを獲得した実力派
アンサンブルです。
前回はDuo「たんと」で森下知子さんと大島忠則さんご夫妻の出演でした。
そこに千井慶子さんに加わってもらって、艶やかなセルリアンブルーの音楽を届けていただきます。
オカリナとサックス、さらに豊かになった音色を楽しみながらご一緒に春の訪れを待ちたいと思います。 

2018年3月18日(日)

★昼の部13:00開演(12:30開場)

   夕の部16:30開演(16:00開場) 

★ 参加費 2500円

出演

 ・デュオ・セルリアン(森下知子、千井慶子)サックス&オカリナ

・大島忠則 ピアノ・編曲

 

 

 


プログラム
・大島忠則/こきりこ幻想
・宗次郎/春の土
・ロブレス/コンドルは飛んで行く
・モリコーネ/ニューシネマ・パラダイス
・大島忠則・編集/懐メド百花繚乱(百万本のバラ、すみれの花咲く頃、バラが咲いた、サボテンの花、赤い花白い花 ほか)

デュオ・セルリアン
ともにサクソフォン奏者として活動の中、オカリナの音色に魅せられ デュオを2013年に結成。
晴れ渡る空の色 セルリアン・ブルーのイメージ、そして、フランス語で「絆(きずな)」を意味する「LIEN(リアン)」から。
数種のサクソフォンとオカリナを用いあらゆるジャンルの音楽を聴かせるコンサートを展開。
ホームページhttp://duocerulien.wixsite.com/saxocarina

森下知子(もりした ともこ)
大阪音楽大学器楽学科(サクソフォン専攻)卒業。サクソフォンを前田昌宏氏に師事。
大学在学中、和歌山音楽コンクールにて1位を受賞。
2001年オカリナに出会い、以降数種のオカリナ・サクソフォンを用いたソロ演奏活動を行っている。
2005年より「阪神大震災復興祈念コンサート(西宮アミティホール)」にて20回にわたり単独公演を行い、毎度1000人越えの動員となり多くの観客から好評を得る。
(現在「ふれあいコンサートinアミティ」として継続中)

千井 慶子(ちい けいこ)
大阪音楽大学器楽学科(サクソフォン専攻)卒業。クラシックサクソフォンを森下知子、井上麻子、飯守伸二の各氏に、ジャズサクソフォンを小林充氏に師事。オカリナを森下知子、大沢聡の両氏に、
ソルフェージュを大島忠則氏に師事。
2012年3月、地元である大和高田さざんかホール主催 さざんかタウンミュージック音の扉part13にて自身初のソロリサイタルを開催。同年より本格的にオカリナ演奏を始める。
現在音楽教室での指導の傍ら、ソロ、アンサンブルなどの、レストランライブやコンサートを数多くこなし、積極的に演奏活動に取り組んでいる。

大島忠則(おおしま ただのり) ピアノ・編曲
大阪音楽大学作曲学科作曲専攻卒業。作曲を故・前田行央氏、田中邦彦氏に師事。
サクソフォン四重奏などの室内楽の作・編曲を数多く手がける。中でもサクソフォン四重奏編曲作品は、今までに全国の600を超えるプロ・アマの団体によって広く演奏されている。
9年間大阪音楽大学付属音楽学園、同大学付属音楽院の非常勤講師を勤め、現在はフリーランス作曲・編曲家、ピアノ・ソルフェージュ講師として活動。


<ありがとう春のおもてなし>                       川口 義明

 

今回の催しのタイトルは「ひょっこりと春が顔出すコンサート」でしたが一番目に我々を迎えてくれた春は椿でした。先ず眼を奪われるのは玄関に設えられた大きな壺に引っ越してきた桜の庄兵衛のお庭に咲いていた藪椿。赤い花ばなが一人一人のお客様にいらっしゃいませと挨拶してくれていました。次はステージのピアノの後ろにそっと飾られた2輪の赤い椿、演奏者への感謝と労いの印です。客席の後ろの床の間には一輪だけの凛とした白い椿、格調高いこのホールを更に見事に引き立てていました。まるで格式有る旅館にいるような気分です。玄関に飾られた巨大な桜のタペストリー以外の桜の花は未だ開いていませんでしたが休憩時間には、なんと桜の庄兵衛ギャラリースタッフの皆様の手作りの桜餅を頂きました。ぷーんと春の香りがしました。これが2番目の春です。昼と夕の部合わせると200個ほどの餅を固くならない内にご用意されたこと、又そのおもてなしの心に僭越ながら参加者を代表して敬意を表します。

話は変わりますが私は人間は皆、幸福の袋を持って生まれてくると考えています。最初は空っぽですが成長するにつれ日常の中で手に入れる幸福の元delightを貯めていく袋です。人それぞれにdelightは違うでしょうが、音楽がその一つであること特にここにお集まりの皆様にとっては重要な一つであることは間違いないと思います。今日の演奏が皆様にどんなdelightを与えてくれたのか一寸お聞きしたいですね。

さて今日聴かせて頂いた楽器オカリナとサクソフォンは英語で言うwind blow instrumentです。打楽器にしても、弦楽器にしても音は音源の素材が本来持っている音が叩かれたり擦られたりして出ている訳ですがwind blow instrumentでは何の変哲もない筈の演奏者の吐く息が、まるで魔法に掛かったかのようにこの楽器の中を通ることによって驚異の変身をとげ素晴らしい音楽へと昇華して行きます。これは奇跡と言ってもいいような変身ではないでしょうか。今日、目の当りにした奇跡はdelightとして私の幸せ袋にしっかりとしまわれました。恐らく今日の参加者全員の皆様の幸せ袋も一つ貯えが増えたのではないでしょうか。

さて演奏会の方ですが先ずはデユオのお二人のステージ衣装、セルリアンの名の通り空の青をイメージしたものでした。どんな清々しい透き通った音楽を聴かせてくれるのだろうと期待が高まります。

スタートは1986年のNHK特集「大黄河」のテーマ曲で日本中にオカリナという楽器の素晴らしさ広めた宗次郎さんの曲「春の土」です。続いてイタリア人作曲の「散歩のポルカ」これは散歩している人を表現しているより散歩している人の周りを囀りながら飛び回る小鳥の情景のようです。曲の最後の小鳥の声(少なくとも私にはそう聞こえました)が印象的でした。

次は今日のピアノと編曲を担当された大島忠則さんの作曲された「名もない小さな小径」と「名もない小さな舞曲」、自然の鼓動をモティーフにされているとのこと。両曲ともYouTubeにアップされています。「舞曲」の方は千井さんの第2オカリナがモールス信号を発しているようで面白いです。

次は本日のハイライト「こきりこ幻想」です。セルリアンのお二人が第1回全日本オカリナコンクールで一位を取られた曲です。日本チャンピオンの曲を日本チャンピオンの生演奏で聴ける、そうそう味わえないdelightです。私の幸福の袋の中には特に大切なものをしまっておくコフレドール(金の小箱です化粧品ではありません)が入っています、この演奏はここにしまいます。何処からか、♪窓のさんさはデデレコデン♪のお囃子が聞こえてきました。

休憩をはさんで紅白のドレスへお色直しのお二人。ここからはサックスが主役です。最初の曲は「コンドルは飛んで行く」この鳥は青いアンデスの山の上から桜の庄兵衛の上空へワープして来ました。次は今日の曲目の中で最も古い17世紀に作曲された曲「ソナタ ハ長調」、サックスが作られる前に書かれたものですが勿論サックス用に編曲されています。

梶浦由紀さん作曲の「Storia」はNHK歴史秘話ヒストリーのテーマ曲、プロのお二人にも演奏が難しいと言わしめる3連オカリナでの演奏です。次は花をテーマとしたメロディーのメドレー「懐メド百花繚乱」です。実際は20花位ですが花をテーマにした曲ばかりの楽しい時間でした、しかし悔しい時間でもありました。それまでオカリナの伴奏に徹していた大島さんのピアノが一瞬クリスマスソングを奏でました。クリスマスソングと思ったのが間違いでした。大島さんのジョークだとは気づかなかったのです。やられました、はなははなでも赤鼻のトナカイの鼻でした。最後はベット・ ミドラーの歌で有名な「the Rose」です。真剣な皆の願いに答えてアンコールは坂本九さんの「心の瞳」を聴かせていただきました。

参加者の皆様は今日何個のdelightを増やすことがお出来になったでしょうか。

最後にこのサロンを開催され続けてこられた奥野様ご夫妻と、お二人を支え続ける実行委員会・スタッフの皆様に心からの感謝と敬意を表したいと思います。